SPF値とかPA値とかの意味はよくわかんないですけど!
今回は紫外線がどう肌に影響するのか?という話をしたあとに日焼け止めの選び方を詳しく説明していくわ。
この記事の目次
そもそも紫外線とは?
地球に届いている日光の全ての割合が紫外線という訳ではありません。
グラフからもわかるように、紫外線は日光のうち約5%ほどです。
【地上に届く太陽光の割合】
しかし、その5%の紫外線が、肌に悪影響をもたらします。
紫外線は3種類ある
紫外線は波長の長さによって3種類に分けられます。
【紫外線の種類と波長の長さ】
●紫外線A波(UVA)・・・320~400nm
波長が長く、地上に到達する
●紫外線B波(UVB)・・・280~320nm
UVAより波長が短く、290nm以上が地上に到達
●紫外線C波(UVC)・・・280nm以下
波長が短く、地上には届かない
nm(ナノメートル)とは、長さの単位で1nm = 0.000001mm

波長の長さで変わる2つの特徴
特徴1、波長が短いほど肌に有害
波長が短いほどエネルギーは大きくなります。つまり、波長が短いほど有害な作用が強いということです。
「UVB」は当たると急性の炎症を引き起こします。海水浴などのレジャーでヒリヒリするような日焼けを経験した方も多いかもしれませんが、それはこのUVBによるものです。
炎症を起こして皮膚が赤くなる症状を「紅斑」とい言いますが、「紅斑」をもたらす力は「UVA」の1000倍とも言われています。これを聞けば、「UVB」のエネルギーがいかに強いか想像できるかと思います。
そして、もっとも波長が短い「UVC」は更に有害で、肌に届いてしまうと悪影響を及ぼします。
特徴2、波長が長いほど肌の奥まで届いてしまう
「UVC」は、エネルギーが非常に大きく、肌まで届くと「細胞組織そのものを損傷させるほどの力」があります。しかし、波長が短い「UVC」は、オゾン層や大気圏で吸収され、地球まで届くことはほとんどありません。
一方、UVAとUVBは残念ながら地上まで届き、肌に悪影響を及ぼします。
紫外線は波長が長いほど物の内部を通り抜ける性質があります。「波長が長い=肌への透過力が高い」と覚えておくと良いでしょう。
ですから、UVAの方が波長が長い分、より肌の奥(表皮の基底層から真皮)まで透過してしまうことになります。UVBはほとんどが表皮までですが、刺激が強く、強いエネルギーで肌にダメージを与えます。
紫外線A波(UVA)-肌の奥まで届く-
全紫外線の約95%を占めるUVAは、紫外線の中で一番波長が長いため、肌の奥まで紫外線が届いてしまいます。
具体的にいうと、表皮の一番奥にある基底層や、さらにその奥の真皮まで届き、悪影響を及ぼします。
(↑UVAは基底層や真皮まで届いてしまう)
UVAが真皮まで届くことでシワの原因となる
UVAは、基底層を超えて、さらに奥の真皮まで届いてしまいます。
真皮は、主にコラーゲンとエラスチンという繊維などによって構成され、肌のハリや弾力を保つ役割を担っています。
UVAはこのコラーゲンとエラスチンにダメージを与えます。さらにこの2つを作り出す線維芽細胞(せんいがさいぼう)にまで損傷を与え、機能を弱めてしまいます。
ハリや弾力のかなめとなるコラーゲンとエラスチンが減少したり変性してしまうことで、肌のハリを保つことができなくなり、結果たるみやシワの発生を招いてしまいます。
UVAが基底層まで届くことでシミの原因となる
基底層には、シミの原因となるメラニンを製造する工場、メラノサイトがあります。
UVAは、この基底層まで届くことで、メラノサイトを刺激し活性化させます。活性化したメラノサイトは、メラニンを多く生み出し、結果シミを作ってしまいます。
(↑UVAはメラノサイトを刺激しメラニンを多く作らせる)
UVAはガラスを約80%通り抜ける
屋内なら大丈夫!と思っている方に悲報です。一般的なガラスの場合、UVAの8割が通り抜けてしまいます。
室内にも、紫外線は届いているんです。窓際にいることが多い方などは、少々大掛かりにはなりますが、窓を「合わせガラス」に変えることで対策をとることができます。
合わせガラスは、二枚以上のガラスを樹脂などでできた膜で貼り合わせたもので、この膜には紫外線をカットする機能があります。
それにより合わせガラスにすることで、紫外線の99%をカットすることができるようです。
紫外線B波(UVB)-肌の表面まで届く-
全紫外線の約5%しかないUVBは、UVAより波長が短いため、真皮まではほとんど届きませんが、真皮の上の表皮にはしっかり届いています。
(↑UVBは表皮まで届いてしまう)
また、先に説明した通り、波長が短いほどエネルギーは強くなってしまうため、UVAよりもUVBの方が肌への刺激が強いです。
急性の炎症やシミ、しわの主な原因となります。
UVBは強いエネルギーで赤い日焼けの原因になる
UVBは、レジャー紫外線とも呼ばれ、赤くてヒリヒリと痛い日焼けの原因となります。
他にも、皮膚を腫れさせたり、水泡を生じさせたり。さらには細胞を異常化させてしまい、皮膚ガンを引き起こす原因になる場合もあります。
UVBはガラスを通れない
UVAと違い、UVBは、ガラスをほとんど通り抜けることができません。そのため、屋内はもちろん窓際でもUVBの影響を受けることはありません。
紫外線C波(UVC)-肌まで届くことはほぼない-
最後にUVCですが、波長が短いため、UVBよりもエネルギーが強く、最も危険な紫外線です。しかし、オゾン層で散乱・吸収され地上に届くことはほとんどありません。
ただ、オゾン層の破壊などの環境問題もあり、UVCによる皮膚障害の事例が出ているようです。この事例は、オゾンホールと呼ばれるオゾン層にぽっかりと穴が空いてしまった地域に見られ、南極に近いチリ南部、北極に近いカナダ北部でいくつか見られています。
日本に住む方であれば、UVCの影響は気にされなくて大丈夫でしょう。
紫外線が肌に与える害まとめ!急性編と慢性編
紫外線が肌に与える害は、急性的なものと慢性的なものの2つに分けることができます。
急性的なもの
紫外線を受けてから発症するまでの時間が短く、どの年代にも現れます。
UVBによってできるもの。日焼けで肌が赤くなりヒリヒリしている状態。
紫外線を受けた部分が赤く腫れ、ひどい場合になると火傷と同じ状態の水泡になる。紫外線を受けて8〜12時間で炎症を起こす。
サンバーンを起こすほどの日焼けは、DNAの損傷のリスクもあり、サンバーンをくり返すと皮膚癌の原因にもなる。
UVAとUVBの両方によるもの。日焼けで黒くなること。
紫外線を受けて72時間後くらいから、メラニンが作り出され、この状態が1ヶ月以上続くこともある。通常、生成されたメラニン色素は、肌の生まれ変わりであるターンオーバーとともに排泄されるが、排泄しきれないとシミになる。
繰り返しサンタンを起こすと、メラニン色素を作り出すメラノサイトの数自体が増え、より肌は黒くなり、ほくろができることもある。
わずかに日光に当たっただけでも、日光に当たった部分だけに湿疹や蕁麻疹(じんましん)などが出る。
生まれつきのものや、内臓疾患のもの、原因不明のものなどもあり、紫外線だけでなく、可視光線(目に見える光)でも症状が出る。
紫外線は皮膚を乾燥させる原因になる。一度乾燥すると、年齢が高いほどその回復は遅い。
慢性的なもの
過去のの紫外線の蓄積により起こるもので、40代から自覚し始めるものもあります。
・シワ
紫外線により、皮膚の中にコラーゲンを破壊する酵素が生み出される。
・シミ
紫外線でできるシミを老人性色素斑、もしくは日光黒子(にっこうこくし)という。
紫外線が原因で、皮膚の毛細血管が増えて赤ら顔になってしまうこともある。
紫外線によって起こる皮膚癌。
SPF?PA?日焼け止めの選び方
「SPF値」はUVBをカット
SPF値は紫外線B波(UVB)をカットできる効果を数字で示すときに使います。
「SPF50」など、後ろに数字が書かれています。
SPFの数値は、日焼けで肌が赤くなる(紅斑)までの時間を、化粧品の日焼け止めの効果によってどれくらい引き延ばせるかという目安を表しています。
通常、なにも塗っていない時に、紅斑になるほどの紫外線を浴びるには最小で20分ほどかかります。この20分を基準に計算します。
例えば、SPF2なら2倍の40分。SPF10なら10倍の200分など、
となります。
使う時は薄く伸ばしたりせず使用量を守ってたっぷり塗ることが基本よ!
「PA」はUVAをカット
紫外線A波(UVA)をカットできる効果を表すときに使います。
「PA+」 のように、後ろに「+」がかかれています。この「+」の数に応じて効果の度合いが変わってきます。
PA++ 効果がある
PA+++ 非常に効果がある
PA++++極めて高い効果がある
紫外線A波は、長時間の蓄積により症状が出るので、SPA値のように数字で細かい解析をとるのが難しいため、このように段階ごとに分けられています。
日焼け止めは普段使いでは低い数値のものを!
上の数値をみて、「日焼け止めはSPF50 PA++++」の物を使えば安心!
そう思うかもしれませんが、数値が高いということは、それだけ肌への負担も大きくなるということです。
普段使いの日焼け止めは、なるべく肌負担の少なくなるような物を選びましょう。
【普段使いにオススメのポイント】
・肌に優しい「ノンケミカル(紫外線吸収剤を使っていない)」と表記されたもの。
・数値的には「SPF20 PA++」くらいのものが好ましい。
(但し少し日に当たると肌が赤くなってしまう、職業柄外に出ている時間が長い人は、もう少し強めのSPF30のものを)
・クリームか乳液タイプの日焼け止めを。
海水浴や、プールなど水につかるレジャー、紫外線が多い場所で汗をかくことが予想されるときなどは、ウォータープルーフタイプの使用をオススメします。
ただ、これらは洗い流すときに落ちにくく、専用の洗浄料が必要な場合がありますので、注意が必要です。
上を目安に使い分けると、肌への負担を減らすことができるでしょう。
高い数値を使っていても朝塗っただけで一日分の紫外線を凌ぐのは難しいの。
曇りや雨でも紫外線はある
曇りの日は、快晴日の50〜60%、雨の日でも30%前後の紫外線を浴びています。
「今日は天気が悪いから大丈夫」と油断していてはいけません。紫外線はしっかりと、皮膚の中に蓄積されていっているのです。
天気の悪い日でも、外出時間が短くても、紫外線対策として、なるべく素肌の露出を避けるように心がけましょう。帽子を被ったりなにか上に薄い上着を一枚羽織ったり、アームカバーをつけるなどの工夫を心がけていきましょう。
今対策をすることで、数年後の自分の肌への影響を防ぐことができます。
スキンケア美容医学事典(よしき皮膚科クリニック銀座院長)
素肌美人になるためのスキンケア基本事典(よしき皮膚科クリニック銀座院長 吉木伸子著)
正しいスキンケア事典(皮膚科医:吉木伸子 元化粧品開発者:岡部美代治 栄養士:小田真規子)
朝田康夫監修「最新改訂版 美容の医学 美容皮膚科学事典」 中央書院 2016年
滝川エステティック学院 滝川エステティック技術開発研究所監修「エステティック用語辞典」ザ・ビューレック社 2008年
香粧品科学研究開発専門誌フレグランスジャーナル2016年4月号
田上八朗著「スキンケアの科学」南山堂 2015年
滝川エステティック学院 滝川エステティック技術開発研究所監修「エステティック用語辞典」ザ・ビューレック社 2008年
與儀春江著「ナチュラル美肌のエキスパートを目指す! 手作りコスメ、だから美肌になる!」BMBジャパン 2013年
鈴木一成・朝田康夫監修「化粧品のすべてがわかる コスメティックQ&A事典 全面改訂最新版」 中央書院 2011年
美容皮膚科学 改正2版
http://jp.rohto.com/learn-more/sun-care/column/uva_uvb/
http://www.rohto.co.jp/news/release/2012/1107_01/
http://www.nihon-loreal.jp/uva/uv_ray/uva_uvb.html
http://www.tonehoken.or.jp/gan_shinryou/gan-shinryou-10-3.html
https://www.ngci.co.jp/tech/tech_kn21.html
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