でも、刺激が強いってきいたことがあります…。
(※1)(※2)
サリチル酸とは?
白い粉末で、角質をとかす作用や殺菌効果があります。配合量によって様々な目的で使うことのできる成分ですが、刺激があるため、化粧品に配合する量は0.2%までと制限があります。
化粧品に使われるときは、ニキビケアや角質を柔らかくする目的で配合されています。
【サリチル酸の効果】
・角質を溶かして新陳代謝を高める
・菌の繁殖を防ぐ
サリチル酸は、
菌の繁殖を防ぐ
↓
角質を柔らかくし除去する
↓
新陳代謝を高め毛穴のつまりを解消
↓
ニキビ改善
といった働きをしています。
ニキビ用製品以外にも、皮膚科などで取り扱う医薬品ピーリング剤などにも用いられます。
(※3)~(※7)
サリチル酸は刺激が強い?
(※3)~(※7)
大人ニキビにサルチル酸を使うのは注意が必要
20代以降にできてくる「大人ニキビ」。
早く治したいからと、思春期用のニキビ用製品を使ったりしていませんか?
今使っているニキビ用製品は、思春期用のものではないですか?
「思春期ニキビ」は過剰な皮脂分泌が原因で起こるもの。
皮脂が原因のニキビには、サリチル酸が配合された製品を使うのが有効です。サリチル酸が殺菌をしながら角層を柔らかくし、毛穴のつまりを解消してニキビの改善を促します。
しかし、20代以降に見られる大人ニキビは、過剰な皮脂分泌が原因で起こるニキビ以外にも、乾燥やストレス、睡眠不足など、様々な原因が考えられます。
そのため、大人ニキビができる肌は、バリア機能が低下している状態。
その状態の肌に、思春期ニキビ用のサリチル酸が配合された製品を使うと、殺菌成分などが必要以上に入りこんでしまう場合があり、刺激になります。ひどい場合には赤く腫れて痛みを伴ってしまうこともあります。
サリチル酸は配合される分量によって肌への影響も変わってきます。
大人ニキビ専用のケア商品でも、サリチル酸は使われていますが、その場合は肌への刺激になりにくいよう、低濃度で使用されているものもあります。
肌トラブルが見られた場合はすぐに使用するのをやめましょう。一度パッチテストを行い、肌トラブルを起こさないか確認すると良いでしょう。
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サリチル酸を使った製品
殺菌作用や角質柔軟の効果があるサリチル酸。
この成分を含んだ製品は、ニキビ用製品に使われる他、その効果から医薬品などにも使われています。
サリチル酸を使ったニキビ用製品
ニキビ用製品の多くは、化粧水や洗顔料、軟膏などの製品にサリチル酸が配合されています。
ニキビの原因になる、毛穴をふさいでいる角質を取り除くために使われるサリチル酸は、菌の繁殖を防ぎながら角層を柔らかくし新陳代謝を促していきます。
そうして毛穴のつまりを解消することでニキビの改善を促しています。
このサリチル酸が配合された製品は「思春期ニキビ」などの過剰な皮脂分泌から起こる毛穴のつまりが原因のニキビに使用すると改善が見られます。
また、サリチル酸が配合された「サリチル酸ワセリン」といった軟膏は、ニキビケアに用いられる他にも、水虫や湿疹などにも効果があります。
しかしサリチル酸は、成分が強い為、ニキビ治療中の医療用の薬剤と併用して使うと肌荒れを悪化させてしまう危険性があります。
そのため治療中はできるだけサリチル酸が配合された製品は避け、できるだけノンコメドジェニックや、石鹸などシンプルなものを使うようにしましょう。
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サリチル酸を使ったピーリング化粧品
ピーリングとは、ターンオーバーを促して肌を柔らかくするものです。
サリチル酸ピーリングを行うことで
・ニキビ改善、予防
・シミやくすみ
・肌のごわつき etc…
などの改善が期待できます。
ピーリングで、肌表面に蓄積された古い角質を溶かして薄くすることで、肌のターンオーバーを促進させ、ニキビのできにくい肌を作り出します。
ピーリング剤には、大きく分けてAHAとサリチル酸(BHA)とあります。
もともとはAHAのピーリング剤が主流でしたが、AHAは肌への負担が大きく、ピーリング後にかさつきなどが見られることがありました。
一方サリチル酸は、AHAで行うピーリングよりも肌のカサつきや、肌荒れがしにくいといったメリットもあり、最近ではサリチル酸を使ったピーリングが増えてきています。
しかし、日本では化粧品へのサリチル酸の配合量は0.2%と決められています。
サリチル酸がピーリング剤としての効果を発揮するには5%ほど必要なので、ホームケアでサリチル酸を用いたピーリングは、即効性の効果は薄く十分なピーリングはできないでしょう。
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医療で行うピーリング
医療で行われるケミカルピーリングは、毛穴のつまりをとる他、殺菌作用もあるためニキビ治療に有効です。
中でもサリチル酸(BHA)は油性のもので、毛穴に詰まった皮脂へよく馴染むため、毛穴の引き締めなどにも用いられています。
また、医療機関で行うピーリングは、ニキビ改善・予防、くすみ、肌のごわつきの改善以外にも、肝斑にも効果があるとされています。
日本でのケミカルピーリングは、AHAが主流でした。しかし医療機関では、AHAに比べ肌トラブルを起こしにくいサリチル酸を用いたピーリングへ移行しつつあります。
ホームケア用のサリチル酸ピーリングは、サリチル酸の配合上限が0.2%なのに対し、医療機関で行うケミカルピーリングのサリチル酸の配合上限は決まっていません。
ひとりひとり目的に合わせて肌の状態を見ながら酸の種類や濃度を調節していくので、安心して施術を受けられることができます。
(※2)(※5)(※7)(※14)
サリチル酸を使った医薬品
サリチル酸には殺菌作用があることから、水虫の原因となる菌、カビの一種である白癬菌(はくせんきん)を抑える作用があります。
医薬品軟膏や液状の薬、絆創膏などとしても用いられており、イボやタコ、ウオノメ、水虫などの治療薬として使われています。
外用薬なので副作用は少ないとされており、誰でも比較的安全に扱うことができます。
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サリチル酸誘導体は美白にも効果あり
実はサリチル酸は、誘導体となった成分を使用することで美白の効果も期待できます。
サリチル酸の誘導体である「4MSK(4-ナトキシサリチル酸カリウム塩)」。
資生堂が独自に開発した美白有効成分の4MSKは、メラニンの抑制・排泄をしてくれる効果があります。
シミのできる原因となるメラニン。
4MSKは、メラニンの合成を促進させる「チロシナーゼ」という酵素へ直接働きかけ、活性化を抑える作用があります。
また、ターンオーバーを正常に戻す働きもあるので、溜まったメラニンを排泄する効果があります。
(※4)(※8)(※13)
敏感肌と乾燥肌の人は使用注意
ニキビに効果があるサリチル酸、ピーリングを用いればくすみなどの改善にも期待ができます。
また、サリチル酸を水に溶けやすい状態にした「サリチル酸Na」は、皮膚の洗浄効果を目的としたことから、シャンプーなどにも配合されています。
しかし、サリチル酸は効果も高いことから、配合量によっては肌への働きも変わっていきます。
肌への浸透力が強いサリチル酸は、バリア機能が低下した乾燥肌や敏感肌に使用すると、肌に刺激を与えてしまう場合もあります。
そのため、敏感肌や乾燥肌の人のサリチル酸配合製品の使用は、肌トラブルを招く危険性があるため、ホームケアで使うのは控えるか、パッチテストを行うなど対策を取りましょう。
どうしてもと言った場合は、一度皮膚科や美容クリニックなどへの専門医に相談してみるのも一つの方法です。
乾燥肌や敏感肌の人だけでなくとも、パッチテストを行なってから様子を見て使うと、肌トラブルを防ぐことができるでしょう。
(※1)平尾哲二著「医師・医療スタッフのための 化粧品ハンドブック」中外医学社 2016年
(※2)吉木伸子著「素肌美人になるための スキンケア美容医学事典」池田書店 2015年
(※3)小西さやか・櫻井直樹著『すっぴんも、メイク後もキレイな人の習慣 効果が9割変わる「化粧品」の使い方』青春出版社 2015年
(※4)久光一誠監修「美肌のために、知っておきたい 化粧品成分表示のかんたん読み方手帳」永岡書店 2017年
(※5)一般社団法人 化粧品成分検定協会編 「化粧品成分検定公式テキスト」実業之日本社 2016年
(※6)一般社団法人 日本化粧品検定協会監修 小西さやか著「コスメコンシェルジュを目指そう 日本化粧品検定1級対策テキスト コスメの教科書 第2版」主婦の友社 2016年
(※7)医師がすすめる美容治療 すすめない美容治療 著者:桑満 おさむ
(※8)日本化粧品検定2級・3級対策テキスト(日本化粧品検定協会)
(※9)宇山侊男・岡部美代治・久光一誠編著「化粧品成分ガイド 第6版」フレグランスジャーナル社 2017年
(※10)鈴木一成・朝田康夫監修「化粧品のすべてがわかる コスメティックQ&A事典 全面改訂最新版」 中央書院 2011年
(※13)吉木伸子著「一生ものの素肌をつくる 正しいエイジングケア事典」高橋書店 2012年
(※14)吉木伸子・岡部美代治・小田真規子監修「素肌美人になれる 正しいスキンケア事典」高橋書店 2011年
【参考URL】
(※11)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se26/se2652701.html
(※12)http://minahihu.or.jp/page-29/page-72/page-61/page-66
(※15)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se26/se2652700.html